屈折検査に関する画期的な方法を編み出されたそうです。
記憶が定かではありませんが(笑)、「ナントカ雲霧法」とか名付けられたとか。
その手法をざっくり紹介しますと、
・オートレフ(以下、レフ)をしっかり操作
・レフ値2D以上の不同視は片眼遮蔽にて検査し、モノビジョン(単眼視)などを考慮
・レフ値の1D未満の乱視は無視
・1D以上の乱視は、0.5~0.75D弱い度数をレフ値の角度に入れる
・レフ値の球面度数に左右3Dずつ雲霧する
・両眼視力を確認しながら0.5Dずつマイナス側に換えていく
・矯正視力が0.5~0.7に達した時に、片眼遮蔽にて左右の視力のバランスを取る
・両眼視で最良矯正視力が得られる最もマイナス度数の弱い度数を求める
・上の手順で得られた度数を、処方の基準の度数とする
・一連の作業は1分半のうちに終える
とまあ、こんな
どこから突っ込んでよいのやら困ります。(-_-;)
一番問題なのは、全く眼位のことに触れていないことです。
両眼視機能の検査も無しに、両眼を雲霧してしまうと、
融像の弱いかたは両眼視できません。
両眼視機能の評価も無く、いきなり両眼開放で屈折検査を行うのは乱暴以外の何物でもありません。
そして、ここでも「根拠のない2Dの差」が出現します。
http://optpal.blog.fc2.com/blog-entry-281.html
不等像が無く、左右のプリズム差の発生を適切に処理すれば、
2Dの差があっても両眼開放にて検査は出来ますし、眼鏡としての装用も可能です。
両眼視機能を放棄するモノビジョンは、「最後の手段」あるいは「苦肉の策」だと考えます。
乱視レンズ装用時の空間の違和感の有無も考慮せずに、
十把一絡げ的に乱視を無視、または低矯正にする事に正当な理由があるのでしょうか?
乱視があると、眼は水晶体を膨らませるように矯正しようとします。
屈折検査に於いてもっとも禁忌とすべき「調節の介入」が起こります。
オートレフが測定した乱視軸をそのまま使うとは愚の骨頂とも言えます。
クロスシリンダーで正確な乱視軸を測定するすべを知っていれば、
いかにオートレフの乱視軸が不正確かは自明の理です。
また、乱視軸のズレがどれだけ大きな矯正効果の低下を招くかを知っていれば
こんな過ちは犯さないでしょう。
左右眼で矯正視力に差がある場合に、この左右の比較方法では調節バランスが取れません。
また、調節力の介入を防ぐための雲霧ですから、
その途中に片眼遮蔽してしまっては元も子もありません。
片眼遮蔽は調節の介入を誘因します。
屈折検査を短時間で済ませることにはそれなりの意味はあると思いますが、
このやり方では検査手順を端折って、短時間で済ませてしまおうと言う魂胆が丸見えです。
高名な先生ですので、相当に外来患者数が多いのでしょう。
他にも疑問に感じるところはありますが、主だった個所を指摘してみました。
論理の破たんは明らかです。
いや、この手法にはそもそも論理の欠片すら感じません。
なんでも、この書籍の出版にあたり、
あるレンズメーカーが眼鏡店の従業員を100名ほど集め、講演会を催したそうです。
どの程度の知識・経験のある業界人が集められたのかは存じませんが、
高名な先生の講演会ですから、新人や非正規雇用の若造と言う訳にもいかないでしょうし、
おそらく経営者や店長クラスが招集されたのだろうと思います。
皆さん、講演を聞きながらバカバカしくて頭を抱えるか、
そうとう冷ややかな眼で静聴していたのではないかと想像することは難しくありません。
お医者さんは、患者さんの病気を診ることに専念して、
屈折検査は、その道のエキスパートである視能訓練士さんにお任せになられたほうが
患者さんのためにも、医院の効率のためにもよろしいのではないのでしょうかと思います。
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