
斜位近視については、過去に触れたことがあるので検索にヒットしたようですが、
煮え切らない書き方をしてしまったので、今回もう少し踏み込んで説明いたします。
http://optpal.blog.fc2.com/blog-entry-369.html
量の大きな外斜位、または間歇性外斜視がある場合、
融像(ゆうぞう)という力が働いて、両眼の視線を内転(寄り目)させて、
視線を目標へ揃えようとする運動が起ります。
これを融像性輻輳(ゆうぞうせいふくそう)と呼びます。
輻輳が働くと、それに連動して調節(ピント合わせ)と縮瞳(瞳が縮まる)が喚起されます。
これを近見反応(きんけんはんのう)と呼び、相互に連動しています。
前回はここまで書きました。
斜位近視の特徴として、単眼での視力に比べて、両眼での視力は落ちてしまうことが挙げられます。
単眼の視力を測るときは、非検査眼は遮蔽しますので融像が働きません。
単眼視では輻輳と輻輳に伴う調節は喚起されないので近視化することはないのですが、
両眼を開放して視力を測るときには、両眼の視線を揃えて見よう(融像)とするため輻輳が生じ、
調節が喚起された結果として近視化します。
これは通常とは逆です。
一般的に単眼遮蔽して屈折検査をすると、調節が起きやすく過矯正になることがあるのですが、
両眼開放屈折検査では調節の介入を防ぐことが期待されます。
(『眼科臨床医報』に掲載の東大眼科の原田先生と内田先生の両眼開放屈折検査法に関する論文には、
「遠視の場合、その方法による調節緩解はアトロピンによる場合に匹敵する」と書かれています。)
斜位近視の場合、メガネやコンタクトで矯正しようとすると、
本当は近視がない方に近視として処方したり、
近視の過矯正の眼鏡を処方してしまうことになりかねません。
前回「お察しください」としたのは、
「眼位の検査もしないで屈折検査をして眼鏡処方するのは乱暴ですよ」
と言いたかったわけです。
斜位近視は、輻輳性の眼精疲労の他に調節性の眼精疲労を起こすことがあります。
プリズム眼鏡の装用で軽快させられる可能性がありますが、
斜位の大きさによってはプリズムでは対応不可能な場合もあります。
ですので、その場合は、程度にもよりますが手術適応になりますので専門医にご相談ください。
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