オルタネイトカバーテストにて、はっきりと動きが確認出来る斜位のかたの来店が続きました。
オルタネイトプリズムカバーテストでの中和量が12△
偏光十字視標での中和量が、6△がふたり、7~8△のかたがおひとりです。
一件のみオルタネイトプリズムカバーテストで斜位量表示したのは、
開散過剰型のような間歇性外斜視で、偏光板を使った斜位量では視標の違いによる誤差が大きいようでしたので
オルタネイトプリズムカバーテストで全量を求めました。
で、前々エントリーで少し触れましたが「プリズム矯正のメリット・デメリット」をご説明の上、
お客様の意思を確認して、全員にプリズム矯正はしておりません。
ドイツ発祥の『ポラテストプリズム法』は、感覚神経関係が余り異常になっていない眼位異常すなわち斜位において、
輻輳機構が極めて自然に休止している状態において中心窩両眼視の網膜像の状態を作り出すように考案されています。
輻輳機構に余計な緊張を起こさずに両眼中心窩融像を作り出すためには、斜位の完全矯正が有効ということになります。
従って、ドイツ式では、プリズムの完全矯正にはデメリットは無く、メリットしかないと考えます。
私も少なくとも光学的にはデメリットはないものと考えております。
しかしながら、斜位へのプリズム矯正を行いますと、
眼位は安静位のほうへ向きます。
内斜位へのベースアウトプリズムでは視線は内方へ、
外斜位へのベースインプリズムでは視線は外方にズレます。
眼は安静位に向けながら、プリズムで光を折り曲げて、あたかも正面視しているようにふるまうのがプリズム眼鏡です。
このことから、美容的なデメリットが生まれます。
ある程度大きな量のプリズム矯正をすると、
対面でお話している時に、片目の視線がズレているような印象を先方に持たれるかもしれません。
また、コンタクトレンズとメガネを併用する場合、
プリズム矯正の可能なメガネと、プリズム矯正できないコンタクトレンズでは、使用感に大きな違いが出てしまいます。
「プリズムメガネを掛けていると楽だけれどもコンタクトにすると眼が辛い」という現象が起こり得ます。
つまりコンタクトレンズが使いにくい目になってしまうということです。
コンタクトの上からプリズムメガネを掛ければ良いのでは?という話になりますが
それだったら端からメガネで良いんじゃね?
ということになります。
また、近視や遠視の度数の入ったメガネだと度数を利用してプリズムを入れられますが
度無しでプリズムだけのレンズは、案外厚くなります。
今回は、コンタクトレンズを併用される二人の女性と1人の男性に、
また、もう1人の若い男性はコンタクト不使用ですが、
斜位量の割に輻輳(寄り目)力が強くて、特に自覚症状も感じたことが無い、
ということで、プリズム矯正はいたしておりません。
皆様に、
将来的に、眼精疲労や複視などの自覚症状を感じたらプリズム矯正を考える、
輻輳余力を上げておくために、簡単な融像力のトレーニングを継続していただくということになりました。
ただ、「眼鏡作製技能士」なる資格が業界のスタンダードになり、
眼鏡作製技能士の業務が、眼科処方箋への従属的なものに限られるようになれば、
将来的にプリズム矯正の出来る眼鏡技術者は絶滅することになるのでしょう。
当店のような「ユーザー本意の眼鏡処方」が認められなくなる将来です。
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