
ご覧のように、右は安定していますが、左は1回目と2回目に大きな誤差があります。
こういう時は、さらに何度か測定すれば、いくらか信頼度の高い数値も出てくることもありますが、
いつもの癖で片眼2回ずつ測定しました。
どうせ、自覚検査で細かく測定するので、目安さえわかればそれでよいのです。

そして、これが最終的に発注した度数になります。
R=Sph-2.50D Cyl-1.00D Ax1 0.75△B.in
L=Sph-1.00D Cyl-2.50D Ax179 0.75△B.in
S、Cともに完全矯正値。
左眼の、オートレフの数値と自覚的屈折検査の最終値に、かなり解離がありますが、
3回やって3回とも同じ結果になったので、自覚的屈折検査は正しいです。
再現性は正確さの裏付けとなります。
念のため、オートレフデータとの掛け比べをして、確認はしています。
中間透光体の「何か」で光が錯乱して、オートレフデータの不正確に繋がったのでしょう。
さて、クロスシリンダーですが、
クロスシリンダーをスタートさせる度数には条件があります。
充分に収れんした最小錯乱円を、網膜上に置いてスタートさせます。
レンズの度数単位が0.25D刻みなので、ぴったり網膜上に置くことができない場合、
例えばSph-0.75Dでは網膜の前、Sph-1.00Dでは網膜の後ろならば、後者を選びます。
最初にセットする乱視軸は、予想される乱視軸でもよいですが、
敢えて数度ズラして置いたほうが被検者の反応がわかりやすかったりします。
上記のお客様の左眼の場合では
Sph-1.25D Cyl-2.00D Ax175 をセットして、クロスシリンダーの開始、
反転させて「進め」の返答でAx180にリセット、
反転させて「戻れ」の返答でAx177.5(くらい)にリセット、
反転させて「進め」の返答でAx178.75を四捨五入してAx179となりました。
乱視がある程度強い場合、このように1度近くまで追い込めることが多いです。
さらに、乱視軸とクロスシリンダーの軸を合わせて
反転させて「上げろ」の返答でCyl-2.25Dにリセット、
反転させて「上げろ」の返答でSph-1.00D Cyl-2.50Dにリセット
反転させて「上げろ」の返答でCyl-2.75Dにリセット、
反転させて「下げろ」の返答でCyl-2.50Dで度数が決定しました。
乱視度数がスタートよりも0.50D上がったので、乱視軸の再確認もしています。
文字にすると、複雑な手数のように見えますが、やり慣れたルーティーンなのでたいした時間は掛かりません。
測ったことも無いので正確な時間はわかりませんが、1分も掛からないんじゃないかと。
岡本式クロスシリンダー有る無し法を使うと、さらに手間が省けます。
この仕事を始めてから、37~8年になります。
乱視の検査は、放射線視標も参考程度には使いますが、最終的にはクロスシリンダーで通してきました。
オートレフラクトメーターの性能も昔に比べると遥かに進化していますが、
クロスシリンダーで得られる精度での屈折データは得られません。
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