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子供の近視について・調節ラグ編

 近視の原因は、実は、まだ完全に解明されているわけではありません。
ただ、有力な説として「調節ラグ」と「軸外収差」が挙げられています。


調節ラグ」とは

 例えば、眼前40cmに置いた本を読もうとするとき、
理論的には、眼は2.50ディオプトリーの調節(ピント合わせ)が必要となります。
ところが私たちの眼は、正しく2.50ディオプトリーの調節をせず、
より少ない量で済ませようとします。
その足りない量を調節ラグと呼び、調節ラグの量だけ、遠視性デフォーカスを起こします
遠視性デフォーカスとは、遠視性のピントのズレのことで、
本来は網膜上に結像すべき光線が、網膜の後方に結像する状態を指します。
正確には、光線が収束し結像する前に、網膜に到達した状態となります。
200821_2.jpg


この遠視性デフォーカスが、眼軸の後方への伸長を促すというのが、調節ラグ説というわけです。

ヒトは生まれたときは遠視であることが多いのですが、
この遠視性デフォーカスを利用して眼軸を伸ばして正視化していくという理屈とも合致しますので、
調節ラグ説がすべてではないでしょうが、原因の一つだと考えるのは合理的に思えます。


 ただし、調節ラグは誰にでもあります。
ちなみに、米国式21項目検査というオプトメトリーの手法の中に調節ラグの測定がありますが、
その中で、モーガンによる調節ラグの期待値は、
単眼で1.00D±0.25D、両眼視下で0.50D±0.25Dと示されております。

つまり、近視の子にも、そうでない子にも、調節ラグはすべからく起こるわけで、
近視の発生や進行には、別のファクターの関与もあると考えるのが自然です。(遺伝なども含めて)



 さて、この調節ラグを少なくして近視進行の抑制を図ろうと、
遠近両用レンズを装用させるという試みがありました。(あります)
二重焦点だったり、プリズム入りの二重焦点であったり、累進レンズです。

Jane E. Gwiazda(2011)
Progressive-Addition Lenses versus Single-Vision Lenses for Slowing Progressionof Myopia in Children with High Accommodative Lag and Near Esophoria


Desmond Cheng, George C Woo, Katrina L Schmid. (2011)
Bifocal lens control of myopic progression in children


Cheng D、Schmid KL、Woo GC、DrobeB。(2010)
Randomized Trial of Effect of Bifocal and Prismatic Bifocal Spectacleson Myopic Progression


Satoshi Hasebe, Chiaki Nakatsuka, Ichiro Hamasaki and Hiroshi Ohtsuki.(2005)
Downward deviation of progressive addition lenses in a myopia control trial


Jane Gwiazda, Leslie Hyman, Mohamed Hussein, Donald Everett, Thomas T.Norton, Daniel Kurtz, M. Cristina Leske, Ruth Manny, Wendy Marsh-Tootle,Mitch Scheiman, and the COMET Group (2003)
A Randomized Clinical Trial of Progressive Addition Lenses versus SingleVision Lenses on the Progression of Myopia in Children


以上、5本を紹介いたしましたが、
論文の中で、他の研究者の論文からの引用、逆に当該の論文を引用した報告など
これ以外にも相当な量の論文が存在することが見て取れます。

それで結論はどうなんだ?という肝心なところですが、
臨床的には有意な影響は無かったとする報告もあれば、効果が見られたとする報告とマチマチです。

一番目の論文、調節ラグが高く近見時に内斜位のある子供という、効果がありそうに思える試験では効果が見られなかったり、
三番目と五番目の論文では、治療効果は有意であるとされました。
四番目は、日本の長谷部先生らの報告ですが、累進レンズが下にズレていた、あるいは、累進レンズの近用部を使わずに見てしまうことで
効果が30%~60%低下したと考えられる、と報告されています。
ただし、長谷部先生は、少ないながらも効果は見られたとされておりますが、
抑制できる量は少なく(年間0.14D)、臨床的に推奨はされないとのことです。


 しかしながら見方を変えますと、逆効果だったという報告は見当たらないので、
少しでも近視抑制の可能性があるならば試してみる価値はあるのではないかとも思います。

もしご希望がありましたら、単焦点レンズと同じ価格でご提供可能ですのでお申し出ください。
ただ、運動時や、横になってテレビを見ようとするときに、
見え方にわずかな違和感があるかもしれません。


 次回は、「軸外収差」について。


金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102 OptPal(オプトパル)

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