ということで、どこかのお医者から当店に行くように紹介があったそうで、今朝、ご来店がありました。
(眼科なのか脳神経科なのかは聞いておりません)
「同名半盲の視野拡大」については、過去にブログ記事にしておりますので、
その記事を検索されたのでしょうか。
半盲というのは、視野の半分が欠けるものです。
左右眼の右側(右眼の耳側+左眼の鼻側)が欠けるものを右同名半盲、
左右眼の左側(右眼の鼻側+左眼の耳側)が欠けるものを左同名半盲、
左右眼の耳側(右眼・左眼ともに耳側)が欠けるものを両耳側半盲、
と言います。
左右眼の鼻側(右眼・左眼ともに鼻側)が欠ければ両鼻側半盲と呼ぶことになるのでしょうが、
そういう状態を作る疾病がありませんので、実際には(ほとんど)起こりません。
このうち、同名半盲は、メガネのレンズにプリズムを入れるか、フレネル膜プリズムを貼ることによって
視野の拡大が得られることになっております。(拡大というより移動の側面が大きいですが)
但し、フレネル膜プリズムによる解像度の低下、像のイメージジャンプという光学的な欠点、
外観上の不自然さという美的な欠点があって、それほど普及しているとは思えませんし、
原理を理解していない眼鏡技術者が圧倒的に多いということ(医療従事者も?)もその一因かと思います。
そして、装用者の「慣れ」についても、結構厳しい報告があります。
確か、慣れることのできる患者が12か月後に40%台だった、
という外国の医学論文があったと記憶しています。
それで、ご来店のお客様に、どういう種類の半盲かをお伺いしましたら、
右眼の外側(耳側)のみの半盲でした。左眼は健常だとのことです。
こ、これは・・・!?
私の勉強不足でしょうか、片眼性の半盲にプリズム矯正の適応がある?
右眼の耳側半分が見えていなくても、左眼の視野で補える範囲は結構ありますので、
死角になる範囲はあまり広くは無いです。
(通常の右同名半盲の場合のように)
右眼の瞳孔領の外側にフレネル膜を貼ったとしたら、
少し視線を右に振ると、右側のみベースアウトプリズムが付加されて左眼には付加されないことになります。
これは無理です。融像幅に余裕があれば融像は可能でしょうが、
右眼の視線がフレネル膜の境界を移動するたびにプリズム量が増減して
実用には耐えられないと思われます。
同名半盲の視野拡大の理屈をお話しして
適応にはならないことをお伝えしましたが、
果たしてご理解というかご納得していただけましたでしょうか。
お力になれなくて申し訳ございませんでした。
また、当店をご紹介いただいたお医者様におかれましても、
当店では、同名半盲に対する視野拡大しか対応することができません。
私の力不足でお役に立てずに申し訳ございませんでした。
【追記】
ブログ記事を投稿した後に、
片眼性の半盲に対するプリズム矯正について、インターネット上の情報を検索してみましたが、
(探しまくりました)
医学的論文はおろか、メガネ屋(眼鏡技術者)の自画自賛レベルの記事すら見当たりませんでした。
もちろん、同名半盲なら存在するのですが。
やはり、片眼性の半盲については、一般的にはプリズム矯正の適応にならないようです。
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