もちろん、脳神経科、眼科などで治療を受けておられます。
眼科では、プリズムがどうとか言っていたそうですが、
結局何にもせずに「様子見」という名の放置です。
で、当店に相談に来られたのですが・・・・
外眼筋の麻痺性の斜視は、遠見時、近見時以外にも、
側方や上下、斜め方向に視線をズラしてもプリズム量が変わることがあるため、
すべての状況下で複視が消えるわけではないことをご理解いただいて、
第一眼位(水平に遠方視するときの眼位)で複視を消せるような度数があるかを調べました。
R=Sph0.00D Cyl-0.75D Ax130 18△B.out
L=Sph+1.25D Cyl-1.50D Ax85 2△B.up
で、複視が消えました。
外斜位と違って、内斜視の場合は、プリズムを全量入れないと複視が消えないことが多いです。
人の眼は、輻輳(寄り目)は得意ですが、開散は苦手ですので。
複視が消える度数が見つかっても、まだ問題が残ります。
これだけ量の多いプリズムでは装用感の問題が出てきます。
以前も書いていますが、直径38mmのテストレンズと、完成したメガネとは見え方に違いが出ます。
しかも、6△のプリズム3枚と、2△のプリズム1枚を重ねて18△B.out 2△B.upを作っています。
これも1枚もののメガネレンズとは違います。
一応、装用は大丈夫のようです。
プリズムの違和感よりも、複視が消える快適感のほうが圧倒的に高いでしょうから、
そうなることが多いです。
そして、もうひとつの問題。
このプリズムを作ってくれるレンズメーカーがあるかどうか。
多くのメーカーのレンズ製作範囲表では、製作出来るプリズム量に制限があります。

3△~4△くらいが多いのですが、
一部のメーカーは、製作範囲外でも応じてくれることがあります。
もし足りなければ、プリズムレンズにさらにフレネル膜プリズムを貼るという方法もあるのですが、
フレネル膜は解像度も落ちますし、汚れたり傷でくすんだりしやすいので、
1枚レンズで出来るほうが、(厚みの問題はあるにしても)有利です。
アチコチの特注窓口で交渉の結果、
やっと出来るレンズが見つかりました。
ただし、左目の混合乱視は、8△B.out 1△B.upが限界で、外径も50mmまでということ。
右目のレンズなら10△B.out 1△B.downが出来るということで、
左右のプリズム量は変わるものの、何とか18△B.out 2△の上下プリズムを得ることができました。
まあ、これだけのプリズムがあると、レンズは厚くなります。
強度近視用のウスカルフレームを使ってもこうなります。

複視は必ずしもプリズムで解消できるとは限りませんし、
見る方向によってもプリズム量が変わることがあるので、
常に解消できるわけでもありません。
ただ、第一眼位だけでも複視を解消できるだけで、快適さは全然違ってきます。
患者さんから複視の訴えがあって、プリズムでどうたらこうたら(出来るかもしれない)と言っておきながら
検査すらしない病院っていったい何なんでしょうか。
実はこのような事例が過去何度かあって、そのたびにブログ記事を書いているのですが、
余り感情的に書くとよろしくない、という判断でボツにしてきました。
余りに多いので、今回は、内容をややソフトに意識して投稿することにしました。
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