レンズを薄く軽く作るために、薄型加工にて特注しました。
出来上がるまでは現在使用中のメガネを使う事になりますので、
そのメガネが相当に曲がっていたので、直しておこうと拝見しますと、
持った瞬間に、大きさや度数の割に重たいことを直感しました。

(画像は加工しております)
腕(テンプル)の付け根に、何かを象った大きな物体が付いています。
機能的には何も役を成さないモニュメントです。
このモニュメントが、前枠の智という部分にロー付けされた板に当たることによって腕の開きを止めます。
そういう意味では役は成しているのですが、別に普通の智を使えば事足りるわけで、
モニュメントと板の重さは、機能的には余計なものです。

(画像は加工しております)
この板の部分は、結構サイズも大きく厚みもあり、かなり重さがあるように思えます。
厚みがあるのは丈夫さを求めてのことでしょうが、
ここが丈夫でも、腕が外に開く力を受ければ、
前枠のリムという部分がねじれて、どっちにしろ腕は開いてしまいます。
現にリムがねじれて相当に開いていました。
そして、どうしてもメガネがズリ落ちてくるので、
購入された店で腕の先を曲げて欲しいと頼むと
「これは曲げられないんです。」
と、メガロックやズレロックと呼ばれる部品を取り付けられたそうです。

腕の材質は、「TR-90」という樹脂です。
先の方に金属の芯が入っていますが曲げられません。
常温で曲げようとするとヒビが入ったり折れたりしますし、
加熱すると着色のための表面のコーティングに皺が寄ったり剥がれたりします。
正直、腕の曲げ調整が出来ないメガネは、メガネとして用を成さないと思いますし、
それをわかっていて販売するのは、眼鏡屋としてはどうなんだと思います。
たまたま、腕の曲げがピッタリだったら問題ないですが、
人の顔の大きさは千差万別ですし、同じかたでも左右でも違いますので、
左右ともぴったり合うというのは、まあ滅多にないです。
現実に、もしお客様がこのフレームで満足されているなら、
同じお店でまた同じブランドのものを購入されるでしょうが、
不満があるから、当店のようなちっぽけな場末のメガネ屋に来られたわけです。
小児の斜視弱視治療用として使われる可能性の高い年代が対象のフレームです。
こんなフレームを製造して、販売する、
この業界の嘆かわしい現実を感じて、暗澹とした気分になりました。
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