境目の無い遠近両用レンズというのは、
簡単に言うと、遠用レンズの下方に、累進的に近用度数を加えていく構造です。

この累進構造をどうやって設けるかで、
「外面累進」「内面累進」「両面累進」などと分類されます。
まさに文字通りで、レンズの外面だけに設けると外面累進、
内面だけに設けると内面累進、両面を使うと両面累進というわけです。
両面累進にも種類があります。
HOYAが特許を持っている「両面複合累進」というのは、累進構造の横方向の要素を内面に、
縦方向の要素を外面に設けています。
もうひとつは、累進構造を単純に両面に分けるものです。
累進構造を内面に設けると、レンズの厚みの分だけ、眼に近づきますので視野が広がります。
反面、縦方向にも広がるというのは、累進構造が長くなって眼球回旋角が大きくなるということになります。
度数変化が穏やかになり揺れが軽減されるという利点もありますが、
近方視の際に下方回旋量が増えてしまうという欠点もあります。
そこでHOYAは両面複合という方式を採用したわけです。
もっとも、内面累進で下方回旋が増えるなら、
そのぶん累進帯長を短くすれば下方回旋は減らせるのですけれど。
個人的には、累進構造がどっちの面にあるかよりも、
収差補正がキチンと成されているかのほうが気になります。
収差補正も、外面だけ、内面だけ、両面で補正という種類があります。
この収差補正で、遠用部の周辺のボヤケ感や
累進部の横方向の視野が大きく変わってくるわけです。
レンズの価格差は、この収差補正によるところが大きくて、
高度な収差補正のために、ソフトウエアの開発費や、
より精密に研磨するための製造コストが掛かっていたりするわけです。
それにしても、最近の各メーカーのハイエンドのレンズは高過ぎ、と思うのですが、
今から思えば、私がこの業界に入った頃、30余年ほど前ですが、
当時の累進レンズもかなり馬鹿高かった記憶があります。
今はお安いレンズの選択肢もありますが、
あの頃は、累進レンズというとフランスのエシロール(当時はエッセルと呼ばれていたはず)社が製造し
HOYAが販売する「バリラックス」というレンズしか選択肢が無くて、
もの凄く高い価格だったと記憶しています。
その後、AO(アメリカンオプチカル)の累進レンズが出て、
(セイコーが販売していたかも?)
さらにそのあと日本のメーカーが累進レンズを発売したんじゃなかったかと思います。
ニコンがウルトラビュー、セイコーがP1、HOYAがV3だったかな?
競合品が出てからは市場原理が働いて価格も下がって行きました。
と、話は脱線しましたが、
内面累進だから外面累進よりも良い、とか、
両面累進だから内面累進よりも良い、とは必ずしも言えるものではありません。
実際に、安いけどあんまり収差補正されてないような「両面累進」もありますし、
一般的な外面累進よりも手を抜いた作りの安い「内面累進」もあります。
私としては、究極的には、累進面がどこにあるかということよりも、
装用度数のほうが快適さを左右すると思っています。
正しい乱視の矯正、必要ならば眼位の矯正、左右の調節バランスが取れて、
必要な明視域を確保できる近用加入度数を選択することがより重要でないかと考えます。
金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102
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普段、-2.0ディオプトリーくらいのコンタクトレンズを使用しているというかたから、
持っているメガネだと目が小さく見えるのが嫌で、
ウスカルフレームにしたら改善できるのか?
という相談がありました。
コンタクトで-2.00D程度なら、目が小さく見えてしまうほどの度数ではないので、
たぶん、原因はアレだな、と思いましたら、
ご所持のメガネはさらに弱く、-1.25D程度の弱度のものでした。
ひとつは、TR-90、もうひとつはウルテムという、
テンプルの開き、テンプルの曲げ調整を一切受け付けないインジェクション方式の樹脂フレームでした。
(大手量販店の店名がテンプル内側に印刷されていました)
サイズも顔幅からはみ出るほど大きく、顔に全く合っておらず、
掛けると鼻の頭くらいまでズリ下がって、頂間距離が20ミリを遥かに超えるような状態でした。
まあ、確かに、この状態ならこの程度の弱い度数でも輪郭の入りこみも出るので、
目が小さく感じるということになるのでしょう。。
目に限らず、輪郭の入りこみにより、レンズの部分だけ顔の横幅が小さく見えます。
残念ながら直せません。
素材の弾力性で、顔を洗濯バサミで挟むように掛けることが前提のものですが、
挟む力不足と、テンプルの屈曲点が耳介のずっと後方にあって、
曲げられる構造になっていないフレームではどうすることも出来ません。
メガネのフィッティングで大事なことはいろいろとありますが、
やはりテンプルの屈曲点を耳介の頂点にあてがうことが要点のひとつです。

(私のメガネです。もちろん、屈曲点は合わせています。)
この屈曲点の位置が正しくないと、耳の上が痛くなったり、ズリ下がりの原因になります。
今回は、屈曲点が後ろ過ぎたために、メガネが重力に引っ張られてズリ下がって来ていました。
この屈曲点を変えられないフレームというのが、
メガネフレームとしての存在意義があるのか疑問に思うのですが、
フィッティングという概念とかサービスを端から無視したビジネスモデルということなのでしょう。
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開店間も無い3年前の6月初旬に始めたこのブログも、
今回でちょうど1000件を数えます。
どうでも良い話を取り留めも無く書き綴っていることが大半ですが、
たまには、私のメシノタネに抵触しない程度に重要な情報も含まれてはいます。
その重要な情報が、どうでも良い話によって埋没されてしまうのも勿体ないので、
ブログ記事を書き直して、ホームページに残しておきたいと思うのですが、
それを探しだすのが難しいほど、記事の数が増えてしまいました。 ^_^;
などと、この記念すべき1000件目の記事も、どうでも良い内容になってしまいました。
で、ここでお知らせです。
HOYAが、節操も無く次々と販売してきた累進レンズを整理し、
硝種を絞って売りだすことにしたようで、
LSVとかMSVなどと細かくグレード分けされていた
インディビジュアルでは無い「両面複合累進設計」のレンズを
「HOYALUX Wellna」に統合しました。
それを記念して11月末まで、お買い上げの皆さまに、
片岡鶴太郎さんプロデュースのトートバッグを「
もれなく」プレゼントという企画があります。

このWellnaというレンズ、非常に優れた見え方をしたLSVの上位版に当たり
「プレミアム」というグレードのレンズになります。
特に、初めてで加入度数の強め、以前なら「慣れにくい」と思われたかたにもお使いいただき易い、
非常に揺れや足元の浮き上がりを感じにくい優れたレンズです。
ただ、お値段もそれなりにしまして、
屈折率1.60のもので1組4万円前後、屈折率1.74のもので5万5千円前後と、
少々ふざけた価格のするレンズであります。
しかも、さらにその上にはインディビジュアル設計の「エクセレント」なるグレードがあって、
とても馬鹿ばかしいとしか言いようがない価格設定のレンズすら存在すので、
そんなレンズ必要?などと私なぞは思うのですけれど・・・・・
ちなみに私は普段、「プレミアム」「エクセレント」グレードの約半分の価格のレンズを使用しています。
私の眼にはこれでじゅうぶんです。
などと書くと、このWellna、当店では売れないかもしれませんね。 ^_^;
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