昨日のことですが、お若い女性のかたが来店されました。
「ものすごく強い近視で・・・」と出されたメガネを拝見すると、
若い女性に人気のある服飾ブランドの大きめのセルフレームに、
最大厚が約6.5mmになるプラスチックの高屈折レンズが入っていました。
度数は、
R=Sph-11.50
L=Sph-11.00
です。
両眼開放屈折検査による完全矯正値は
R=Sph-10.25 Cyl-0.75 Ax95
L=Sph-11.25 Cyl-0.75 Ax150 4△B.in
となりました。
乱視の未矯正と右目の過矯正が見受けられます。
作られた当時は、そういう度数だったのかもしれませんが、
左右差からして左右逆に入れてしまったのでは?とも思えます。
乱視の未矯正(低矯正)と近視の過矯正は関連する可能性があります。
乱視があると、目は水晶体を膨らませるように乱視を打ち消そうとします。
すなわち「調節」です。
調節が介入すれば、見掛け上近視度数は強くなってしまいます。
そして、一般的な片眼遮蔽屈折検査では、調節が介入しやすく、
球面度数(Sph)乱視の軸(Ax)・度数(Cyl)ともに不正確に検出されることも多いです。
また、乱視度数の半分を球面値と≒にする「等価球面値」という考えもあって、
乱視度数を下げた分、球面度数を上げるという手法があります。
しかし、乱視を適切に矯正すれば、見え方はシャープになります。
そして、球面度数を弱めに調整することで、
視力を担保しつつ、少しでもレンズの厚みを減らせる可能性があります(乱視軸による)。
ただし、場合によっては空間の違和感を感じる場合もありますので、
誰もが完全矯正できるわけではないのですけれど。
今回は、現在眼鏡より弱い度数で、より見える度数を提供できそうです。
フレームは、ウスカルフレームのベストセラー、ベリーザ、
レンズの厚みの予測値では4.2mmとなり。前メガネに比べて33%スリムになります。
「人前で掛けられるメガネが欲しい」というご要望でしたが、
今回のメガネならば、コンプレックスを抱くことなく人前で掛けて頂けるものと思います。
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またまた、前エントリーで前振りした「60日間保証」についてです。

これは、あるメーカーが採用しているシステムで、
累進レンズが合わなかった場合に、60日以内ならば、一度に限り、
度数や硝種の交換に応じてくれるものです。
メーカーにとっては、クレームを心配せずに
(単焦点レンズよりも売上の上がる)累進レンズの拡販に努めて欲しい、
という意図が見えますし、
小売店としてもありがたいシステムで、一見「win win」の関係に見えますが、
私自身は諸手を挙げての賛成しているわけではありません。
私のブログ記事をヒントに悪用されては困りますので方法は書きませんが、
このシステムを使えば、メガネ店が被るべき自身の不手際を、
メーカーに押し付けてしまうことが可能です。
当然のことながら、その不利益についての原資は、
製品の納入価格に転嫁されると考えるのが自然です。
累進レンズの向き不向きは、小さな試験枠とテストレンズの組み合わせでは
わからないこともありますし、
装用テストの時間も限られてしまいますので、
万が一のクレームの際には役立つ保証システムであることは間違いないのですが、
悪意を持った輩が現れないことを願います。
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前エントリーで前振りしたもの凄いスペクタクル・ブラーの話です。
長年、ハードコンタクトレンズを装用なされた眼瞼下垂の手術を控えたかたなのですが、
病院からは、手術の2週間前からコンタクトレンズはしないようにと注意を受けたために、
その間、生活できるようなメガネを求めて来られました。
かなり古いメガネでしたが、
R=Sph-2.00 Cyl-1.00 Ax60 ADD1.00
L=Sph-4.00 Cyl-1.00 Ax125 ADD1.00
を掛けていらっしゃいました。
ハードコンタクトは前日から使っておられませんでしたが、
何となく視力が出にくい、クロスシリンダーによる乱視検査に於いて重要な、
最小錯乱円の位置がわかりにくい、クロスシリンダーの返事が曖昧など、
スペクタクル・ブラーが残っている感じが強くありました。
それでも、ルーチンワークを何度も繰り返して、
再現性のある(≒信頼性がある)データ
完全矯正値
R=Sph-3.00 Cyl-1.00 Ax25
L=Sph-5.25 Cyl-1.00 Ax130は得ることが出来、境目のない遠近両用(累進)レンズで調製しました。
ただし、度数の変化の可能性は否定できないために、
適応になるかは不明でしたが、「60日間保証」のあるメーカーのレンズにしました。
「60日間保証」というのは、レンズ度数、硝種に何らかの不具合があった場合に
度数、硝種を交換して貰えるというシステムです。
(私個人としては、このシステムに諸手を挙げて賛成、という訳ではないです。
理由はまた次の機会にいたします。)
手術が終わり、抜糸して落ち着いたころにもう一度ご来店をお願いしておりましたが、
無事に手術が成功して約30日、前回のメガネ調整から50日めに来店いただきました。
手術後はコンタクトレンズを装用していないということでしたので、
すでにスペクタクル・ブラーは完全に消えているはずです。
今回はクロスシリンダーの返答も明瞭で、スムーズに視力も出ました。
完全矯正値は、なんと!
R=Sph-4.00 Cyl-2.00 Ax30
L=Sph-5.50 Cyl-5.00 Ax146この強烈なスペクタクル・ブラーの原因は、
酸素透過性ではないハードコンタクトレンズが、
眼瞼下垂による瞼の圧力で、より角膜を圧迫していたと考えるのが自然です。
30年近い眼鏡屋稼業で経験した、もっとも大きなスペクタクルブラーでしたので、
勉強させていただいた授業料代わりに、レンズを無償交換しても良かったのですが、
メーカーが60日間保証で対応していただけるという結果になりました。
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スペクタクル・ブラー(spectacle blur)という言葉があります。
コンタクトレンズを外した直後にメガネを掛けた時に、
強いボヤケを感じることがあったために名付けられました。
原因は、コンタクトレンズによる角膜への圧迫や酸素の供給の不足で、
角膜の浮腫、曲率半径や厚みの変化により、屈折状態が一時的に変化することで起ります。
酸素透過性のハードレンズや使い捨てのソフトコンタクトが主流になってからは、
大きな屈折変化は経験しないようになりましたが、今でも少々は起こり得ます。
日中はコンタクトレンズで過ごし、帰宅してからはメガネで過ごすというように
メガネ・コンタクトを併用される場合は、
スペクタクル・ブラーを考慮して、
コンタクトレンズを外して
少し時間を置いて検査すればよいですが、
コンタクトレンズは止めて、これからはメガネだけで生活したいという場合は、
コンタクトレンズを外してから
なるべく長い時間(数日)置いてから
検査したほうがスペクタクル・ブラーによる誤差を避けられます。
実は、最近、もの凄いスペクタクルブラーを経験したのですが、
それはまた後日ご報告いたします。
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6歳の女の子の遠視性乱視のメガネです。(写真・上)
斜視弱視治療用眼鏡の取り扱いになるようです。
度数は
R=Sph+4.75D Cyl-1.00D Ax160
L=Sph+4.50D Cyl-0.75D Ax170
です。
この程度の度数ならば、老眼鏡としての需要もあるので、
当店にレンズの在庫はあります。(写真・下)
ただし、レンズの外径が65mmもあり、中心の厚みは4.7mmとなります。
凸レンズは、外径を小さく作ると薄くなり、
このメガネでの必要径は50mmですので、無駄な厚みが出てしまいます。

50mmの「外径指定」で注文する方法と、
玉型データをインターネット経由で電送して「薄型加工」で注文する方法がありますが、
乱視がある場合は、その方向にも依りますが「薄型加工」の方が薄くなる可能性は高いですし、
パソコン上で正確に厚みが把握できるので、
当店の場合はほとんど「薄型加工」を使います。
左右共に中心厚は3.1mm、在庫レンズをそのまま使うよりも1.6mmも薄くなりました。

尚、レンズを電送した玉型にカットするサービスもあるのですが、
仕上がりの精度や、ヤゲンカーブの付き方に不満があるので
玉型カットは行わず自店で加工しています。
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当店のメインコンテンツは、
・強度近視用ウスカルフレーム
・ぴったりサイズの丸メガネ
・シルエットをはじめとしたフチなしメガネ
・幼児~学童期のお子様用メガネ
なのですが、
実は、エレガントなご婦人向けのフレームの在庫が意外と豊富です。(^-^)
最近の傾向としては、
細いベータチタンのワイヤーを編み込み、繊細かつ美しいフォルムを醸し出す

や、

。
また、
薄いベータチタン材をレーザーカットして、立体的に2枚張り合わせた

など、
美しいデザインに、軽量化と柔らかな弾力性を持たせたフレームが流行しています。
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これは、マグネットで真中から分かれる構造のメガネではなく、
単に真中でポッキリと折れたセル枠(アセテート材)です。
気温の低い今の時期は、セル枠は折れやすいのでお気を付けください。

添え木で補強して融着してくっつけられないことはないのですが、
強度は充分に担保できませんので、諦めた方が無難です。
幸い、レンズを利用して入れることが出来る枠がありましたので
フレーム交換で対処しました。
同じフレームに交換するのは問題ないのですが、
レンズを利用して、他のフレームに入れ替えるには条件が必要です。
隙間が空かないこと、
乱視・プリズムの角度が変わらないこと、
レンズの光学中心がズレないこと、
遠近両用の場合はじゅうぶんな視野が確保できること、
レンズの表面が加工に耐えられること、
などです。
見落とされがちなのは、一番最後の条件です。
レンズを削る際、加工機にセットするには保護テープを使うのですが、
この保護テープを剥がすときに、レンズ表面のコーティングまで剥がしてしまうことがあります。
ガラスレンズや新しいプラスチックレンズでは起きないのですが、
経年劣化や、傷が付いていたり、熱クラックの入ったレンズの場合はときどき起りますので注意が必要です。
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昨7月に、ウスカルフレーム人気ベスト3(女性編)をご紹介しました。
http://optpal.blog.fc2.com/blog-entry-82.htmlここに来て、ちょっと順位に変動が出そうです。

これまで一度も、当ブログに登場しておりませんでしたが、
最近、好調なのが、この「Livres(リブレス)」です。

特に、このダークレッドカラーが、女性だけではなく小顔の男性にも好評です。
女性用ウスカルフレームの最新の人気は、
MEDA、Livres、Beryzaの順となります。
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「
メガネがかたがっとる」
最近、何度かお客様から聞いた言葉です。
「かたがる」は、「傾いている」などを示す方言で、
この場合は、「メガネが曲がって傾いている」という意味です。
能登ではあまり聞かなかったので懐かしい響きを感じました。
使い方は、
例えば、カレンダーが傾いて壁に掛かっていたら
「
カレンダー、かたがっとるがいや(男)」「
カレンダー、かたがっとるがいね(女)」
「
カレンダー、かたがっとるじー」「
カレンダー、かたがっとるうぇー」
等となります。
ちなみに金沢に本拠地があり、今シーズンからJ2に昇格するサッカーチーム
「
Zweigen(ツエーゲン)金沢」は、
ドイツ語のツヴァイ (zwei=2) とゲーエン (gehen=進む) から、
「チームとサポーターが共に進んでいく」を意味しているらしいですが、
どう考えても「強いです」を金沢弁で表現した「つえーげん」が先にあって、
ドイツ語でそれっぽい造語にならないか、後付けで考えたものとしか思えません。(笑
金沢に帰ってきて9カ月。やっと金沢弁にも慣れてきました。
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富山県のかたから深視力用メガネのご相談を受けました。
直接の名指しではありませんが、行きつけ?のメガネ店から
「ウチでは出来ないけど、インターネットで検索すれば出来る店が見つかるよ」
と間接的なご紹介を受けました。
普通は、技術者・職人としてのプライドが邪魔して、
なかなかそういうアドバイスはし辛いものですが、
お客様の利益を優先してそう言っていただけたのでしょう。
なかなか胆力のあるかただとお見受けいたします。
(私も同じ立場になったら見習わないといけません)
屈折異常は、弱い近視性乱視がある程度でしたが、
輻輳不全気味で、近見時に間歇性外斜視があり、
最初は、遠見時の立体視もあやしい状態だったのですが、
ドイツ式と呼ばれるポラテスト・プリズム法の手技の説明のなかで、
サラッと流されていてつい読み落としてしまいそうな手法を
繰り返しているうちに立体視も出てきて、
まだバラツキはありますが、試験合格のボーダーラインには充分に達しました。
自動車学校に通う間に、練習して器械に慣れれば、問題は無いと思われます。
ご紹介ありがとうございました。
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当店でお作りしたものではないのですが、
ある事情から当店で修理を引き受けた結果、こうなってしまいました。 (-_-;)

Made in China のTR-90というナイロン系の素材です。
フィッティング不可の場合が多いのですが、
耳に掛かる部分に金属芯が入っていたので
フィッティングできるのかと思って、少し力を掛けた瞬間にあっさりとポキッと逝きました。
耳に全く合っていなかったので、一旦伸ばして5mmほど手前で曲げようと思ったのですけども。
不幸中の幸いで、当店と取引がある問屋でも扱っている商品でしたので、
新しいパーツを送ってもらって事なきを得ました。
「新しいうちなら少々曲げても大丈夫だと思う」との、何とも心許ないアドバイスでしたが、
おっかなびっくりしながら何とか曲げ調整もできました。
エンドユーザーの顔に合わせることのできない素材は、メガネには不適です。
やっぱり「
TR-90はこれから絶対に触らない」と心に決めました。
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左右の屈折度数に差がある「不同視」のかたの相談を受けました。
主訴は「右が見えにくい。ブレて見える」です。
過去に作られたメガネ
R=Sph-5.00 Cyl-0.75 Ax130
L=Sph-3.00 Cyl-0.75 Ax180
↓
R=Sph-5.25 Cyl-1.00 Ax180
L=Sph-3.25 Cyl-1.00 Ax180
↓
R=Sph-5.25 Cyl-0.50 Ax135
L=Sph-3.25 Cyl-0.75 Ax180
どれも左右差がきっちり2ディオプトリです。
「差があるときは、強いほうを弱めたほうが良い。」と店員に説明されたようですが、
やはり根拠のない「2ディオプトリの差」に縛られているとしか思えません。
「2ディオプトリの差」とはこちらをご覧ください
→
http://optpal.blog.fc2.com/blog-entry-281.html両眼開放屈折検査による完全矯正値は
R=Sph-6.50 Cyl-0.75 Ax120
L=Sph-3.75 Cyl-1.25 Ax5 2△B.in
を得ました。
網膜像の大きさに差がある「不等像視」は検出されませんでした。
見掛け上は2.75Dの左右差ですが、特にこの左右の乱視角度では、
垂直方向の度数差は約1.75Dと少なくなりますので、
当たり前に調節バランスを取った左右差で調製しました。
最初は、多少の違和感はあるでしょうが、簡単に克服できる左右差だと思います。
明らかに、「見えにくい。ぶれる。」という訴えがあるのですから、
どうして「試してみる」だけのことをしないのか不思議でなりません。
根拠のない「2Dの差」がひとり歩きしている悪しき症例と言えるでしょう。
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