当店には、時々変わった質問メールが舞い込むことがあり、対応に苦慮するものもあるのですが、
今朝、メールチェックをするとこんなメールがありました。
引用ここから----------HOYA
XC1SP
+29.50D
のレンズはどこに合わせてるレンズでしょうか?
遠く用・近く用。遠近用のどの部類に入るかお教え頂けないでしょうか?
宜しくお願いします。
----------引用ここまで件名はなし、投稿者の名前など一切記載のない
匿名メールです。
守秘義務があるプライバシーは無いと判断して原文のママ掲載します。
HOYA、29.50Dという文字、タイプミスでなければおそらく眼内レンズだと思われます。
当店はメガネの小売店ですので、眼内レンズのことを問われても
知らんがな!の一言ですが、
そう無粋で無礼な返答をするわけにもいかず、
「HOYA XC1SP」というワードで検索すると、
オランダ?の製薬会社と思われるサイトの英語のページが引っ掛かりました。
→
https://rockmed.nl/catalog/vivinex-multisert/multiとなっているので多焦点かと思いきや、単焦点の眼内レンズのようです。
multiというのは、レンズの挿入に使うinjectorがmultiな機能を持っているとか何とか。
で、肝心の返答ですが、
そもそも、術後の焦点の合う距離は、
術前に、
医師と患者さんのインフォームドコンセント、話し合いで決めることであって、
私なぞが知る由もありません。
施術を受けた眼科にお尋ねください。
あるいは、自身で、眼前のどの距離にピントが合っているのか、自覚的にも確認出来ると思うのですが。
当店は、メガネ小売店であり、医療機関ではありません。
そういう質問をされてもお答えいたしかねますのでよろしくお願いいたします。
という趣旨のものを
丁寧にお返事いたしました。
金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102
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前エントリーで、糖尿病性網膜症について書きました。
ちょっとブログの過去記事を検索してみましたが
糖尿病性網膜症 については余り言及しておりませんでした。
国家技能検定資格「眼鏡作製技能士」では、「みなし病名」と言えどもお客様に病名を言ってはいけませんが、
この「糖尿病性網膜症」だけは、お伝えしたいことがあります。
この仕事を始めて、学生時代のアルバイトも含めると、40数年になります。
その間、糖尿病性網膜症で視力の出ないかたの相談を
数多く受けてきました。
2019年の視覚障害者手帳の交付を受けたかたの障害の原因となった疾病は
1.緑内障
2.網膜色素変性症
3.糖尿病性網膜症
となっており、全体の55%を占めています。
特に糖尿病性網膜症は、初期では自覚症状に乏しくて、
視力に異常を感じたときには相当に進行してしまっていることが多いように思います。
運転免許の更新に行ったら視力で引っ掛かった、と来店され、
矯正視力が十分に出ないので眼科を紹介したら、
糖尿病性網膜症が進行していて即刻レーザー治療を受けた、
というかたは非常に多いです。
レーザー【
治療】とは言っても、
破れて出血しそうな新生血管をレーザーで焼いて未然に出血を防ぐという
保存的な治療であり、
根治を目指すものではありません。
一度失った視力は戻らないのです。
「金に糸目を付けんからなんとかしてくれ!」と懇願されることもありました。
しかし、しがない眼鏡屋風情にはどうしようもないです。
健康診断等で、食後血糖値の高値を指摘されたら、少なくとも眼科での眼底検査を受けましょう。
そして、眼科医の指示通り、定期的な検診を受けて、糖尿病性網膜症の早期発見に務めてください。
同時に、緑内障や黄斑変性症など他の病気の早期発見にも繋がります。
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また、先ほど電話では回答しにくい相談を受けました。
女性ということしかわかりません。
子どもの頃に斜視手術を受けた経験があるようですが、現在は「戻り」でもあったのか、
やはりある程度の斜位(本人は斜視とおっしゃっています)があるのでしょうが、
プリズムメガネという存在を知って最近どこかのメガネ店でプリズムメガネを作られたそうです。
ふと鏡を見たところ、左目が外を向いていることに気付き、短時間の使用だけで装用を止めたが、
装用を止めても眼位がやはり外を向いてしまって戻って来ないということです。
プリズムメガネ装用以前は、正面を向けることは出来たとのお話。
個人的には短時間プリズム矯正をしただけで、そんな大きな変化はないと思うのですが、
ご本人がそうおっしゃるのでそうなのでしょうね。
プリズム矯正というのは、光を屈折させて光の入射角を変えるというもので、
外斜位の場合はベースインプリズムを付加することで、輻輳(寄り目)の負担を軽減させるのですが、
結果としては視線は安静位へ向きます。
すなわち、外転するということです。
それをご存じなかったようで驚いておられましたが、
それを説明していないメガネ店の対応にも驚きます。
で、メガネでその現象(眼が外を向いている)を治せないかというご相談でしたが、
残念ながらメガネで出来ることはありません。
量によっては手術の適応になるでしょうし、
輻輳のトレーニングを地道に続けることで輻輳力が強化されると、
輻輳余力が上がって楽になるかもしれません。
などというアドバイスを10分ほど掛けてしましたが、
電話口で相談することでは無いと思うのですが。
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多くの業種でそうだと思いますが、
当店では、土曜日と日曜日に多くのかたにご来店いただいております。
そして、「今から行っても大丈夫か?」などの電話も多くいただくので、
土日は忙しくしていることが多いです。
そんな土曜日の昼下がりに電話が鳴りました。
メガネのことを色々調べているというそのかたは、
いきなり、眼光学に詳しいかたに変わってください、とおっしゃいました。
私しかいない、とお答えしますと、
「見掛けの調節力のことは知っているか?知っているなら教えてくれ」
といういうな感じで不躾に聞いてこられました。
また、無調節時に、毛様体筋が弛緩している時、水晶体を引っ張る力はどこから来ているのか?
という趣旨の質問もあったと思います。
要するに、毛様体筋が弛緩しているのに、どうして水晶体を引っ張る力が働くのか、という意味かと思います。
これまでに何度も当ブログでお伝えしておりますように、
人に教えを乞う時には最低限の礼儀は弁えるべきだと思うのです。
別に金品をよこせと言ってるわけではなく、
まともに名乗りもせずに、電話で不躾に聞いてくるような横着なものではないということです。
お答えする義務も義理もございませんし、そういう電話のお相手をしているほど暇でもありません。
第一に、「貴方は、勉強してますか?眼光学とか詳しいですか?わからないんですか?」
などと矢継ぎ早に、且つ、なぜか上から目線で
礼儀知らずな言葉遣いを投げかけてくる様子に
少々大いに気分を害しましたので、
電話口ではお答えすることはいたしませんでした。
見掛けの調節力というのは、
屈折異常のあるかたがメガネにより屈折矯正している場合、
眼鏡レンズと眼との間に距離(頂点間距離)があるために、
近視眼では正視眼に比べて少ない調節力で済み、
遠視眼では正視眼に比べて多くの調節力を必要とする、というものです。
その量の計算式も知られていますが、割愛します。
調節については
毛様体筋は調節するときは輪状筋(Müller筋)が収縮、
毛様体筋の内径が小さくなりチン氏帯の張力が減少して水晶体が自己の弾力で前方に膨らんで屈折力が増す。
調節が弛緩するときは縦走筋(Brüke筋)が収縮、
脈絡膜の弾力(強膜も)によって毛様体筋の内径が大きくなりチン氏帯の張力が増し水晶体を引っ張ることで屈折力が減少する。
ということになっています。
Helmholtz説では毛様体筋の前後の移動も唱えられていますが、
メカニズムとしてはこんなところです。
ご自身で色々調べているということですが、
この程度のこともわからずに質問されるということは、
Müller筋やBrüke筋、その神経支配を電話口で話したところで理解もしてもらえないでしょう。
このかた、眼鏡技術倶楽部のメーリングリストでも話に出てきたかただと思われます。
おそらくアチコチの眼鏡店に電話をしてこんな質問を繰り返しているのではないかと。
そんなに勉強がしたいのなら、眼鏡屋に電話して聞くような能率の悪い事はせずに、
「眼鏡学教本」「眼鏡士読本」「眼鏡光学ハンドブック」など数冊購入して
独学でお勉強なさった方が良いですよ。
そして、もし当店に、眼鏡購入目的ではないテクニカルな質問がある場合、
自身のお名前・所属などを明記して、メールでご連絡ください。
匿名の質問にはお答えいたしません。
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過日の「
不等像視のあるかた」のエントリーで触れたかたですが、
ご連絡をいただきまして、やはり、
「黄斑部付近に膜状のものがあり、それが不等像の原因になっているのではないか」との診断があったそうです。
ただし、不等像による見え方の不具合や変視症なども無いので、急いで手術の必要はないということでした。
半年ごとに定期観察をしていくことになったとのことです。
「
黄斑上膜症手術後の不同視」で触れたかたと同じように、
両眼ともに-6.00D近い近視があるので、
片眼だけの手術だと、硝子体手術と白内障手術はセットになりますので、
同じく不同視という厄介な状況に陥る可能性があります。
したがって両眼共に白内障手術が出来る時期まで先延ばし出来るのが理想かと存じます。
(黄斑部に残った膜が悪さをしない限りですが)
以前にも触れましたが、近年、「
黄斑上膜症(
黄斑前膜症)」という病名を良く聞くようになりました。
実は、私も、2016年の夏に、右眼が
後部硝子体剥離から網膜裂孔を起こした時以来、
剝離した硝子体嚢の一部が、眼前を(眼内を)ひらひらと漂っていくのが自覚できます。
将来的に、これが黄斑部に残って黄斑上膜症を引き起こす原因になるかもしれません。
ですので、私自身、この病気に興味があってインターネットで検索したりしておりまして、
結構詳しくなりました。
医学論文や眼科医院のこの病気の説明には、視線のズレを伴う、という記述は見当たりませんが、
なぜか、手術前、手術後に関わらず、強めの上下斜位があることが多いような気がします。
(統計は取っておりませんので、あくまでも個人の感想です)
斜位の発生の機序は整合性のある説明は思い付きませんが、
偶然の一致にしては頻度が多過ぎる気がしてなりません。
私自身には現在は上下の斜位は無いのですが、もし黄斑上膜と斜位に関連性があるとしたら、
私にも斜位が発生してくる可能性があります。
そうしますと、よりつぶさな観察が出来ると思います。
病気になるのが楽しみというのは変ですし、ある意味不謹慎でもありますが、
自身が実験台になれるであれば、ある意味で楽しみでもあります。(笑
私が個人的にお客様を紹介している眼科医院は、
最先端の硝子体手術機材を備えて、白内障・硝子体手術も日帰りでしていただけるので
安心してお任せできるのです。
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