もし、この記事が当該眼科の目に留まれば、ということを考えると、
書こうか書かないでおこうか迷ったのですが・・・・
お客様本位のメガネ作りを第一にしている私のポリシーを鑑みれば
書かないわけにはいかないとの結論になりました。
今月の一日のことです。
海外に留学しているお孫さんの複視のメガネについて電話がありました。
・ものが二重に見えると眼科を受診して、内斜視と診断された。
・手術の適応ではなくプリズム眼鏡
・4日に「紹介状」を貰うために眼科に行く
・留学先に戻るために、15日には出国するのでそれまでに作って欲しいというような内容でした。
「紹介状」というのは「眼鏡処方箋」ですか?と聞き直したのですが、どうにも要領を得ず、
眼科からは4日に「紹介状」を渡すので来いと言われている、とのことで、
その「紹介状」を持って来店する、ということになりました。
で、4日の午後、「紹介状」を持って、電話を掛けて来られたご婦人とお孫さんが来店されました。
で、渡されたのは、なんと!
「外来担当医御机下御中」とかなんとかと書かれた
「診療情報提供書」という本当の「紹介状」の厚い封筒でした。( ゚Д゚)
いや、これ、私なぞが勝手に開いて良い書類じゃないし・・・・それで、お孫さんにも事情を伺い、その顛末がわかりました。
複視を訴えて掛かられた当の眼科での説明では、
急性内斜視だが手術の必要はない。
メガネでプリズム矯正すれば良いのではないか。
しかし、当院は多忙であり、プリズム矯正をしている時間が無い。
どこか他の眼科に行ってプリズムメガネの処方をして貰いなさい。ということで他院への
「診療情報提供書」を渡されたらしいことがわかりました。
どこか「プリズム矯正を得意とする眼科」を紹介するわけでもなく、
宛名からすると大学病院あたりを想定しているのかな、という感じもしますが、
金沢大学付属病院の斜視外来は、新患予約が半年待ちとかなんとか・・・
10日後には海外に行かれてしまうんですよ?ということで、当店に任せていただけることになりました。
もちろん「診療情報提供書」は開封せずにお返ししています。
片眼遮閉屈折検査からカバー・アンカバーテスト、オルタネイト・カバーテスト、
大体あたりを付けておいて、偏光視標を見ていただくと、同側性のズレ。
5△、さらに2△、3△と加えていって、7△以上8△以下で偏光視標が重なりました。
若いかたの近視の内斜視なので、球面調整などやりながら過矯正がないか慎重に見極めて、
最終的にはお客様と相談しながら7△に決めました。
まあ、矯正可能な斜位ならば、実際にかかる時間なんて数分ですよね?
診療情報提供書を作ってプリントアウトする時間のほうがよほど掛かるんじゃないのかと思うのですが。
1週間後の11日、引き取りに来られまして、
さっそくメガネを掛けていただくと、びっくりした表情で
「3Dみたいに見える・・・・」はい、この世界は3Dなので、それが当たり前なのです。
ということで、今頃は海外に戻ってお勉強の毎日を過ごされているものと思います。
もし、このブログを目にする機会があったら、
帰国の際は、具合を見させてください。
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先週末から今週にかけて、
オルタネイトカバーテストにて、はっきりと動きが確認出来る斜位のかたの来店が続きました。
オルタネイトプリズムカバーテストでの中和量が12△
偏光十字視標での中和量が、6△がふたり、7~8△のかたがおひとりです。
一件のみオルタネイトプリズムカバーテストで斜位量表示したのは、
開散過剰型のような間歇性外斜視で、偏光板を使った斜位量では視標の違いによる誤差が大きいようでしたので
オルタネイトプリズムカバーテストで全量を求めました。
で、前々エントリーで少し触れましたが「プリズム矯正のメリット・デメリット」をご説明の上、
お客様の意思を確認して、全員にプリズム矯正はしておりません。
ドイツ発祥の『ポラテストプリズム法』は、感覚神経関係が余り異常になっていない眼位異常すなわち斜位において、
輻輳機構が極めて自然に休止している状態において中心窩両眼視の網膜像の状態を作り出すように考案されています。
輻輳機構に余計な緊張を起こさずに両眼中心窩融像を作り出すためには、斜位の完全矯正が有効ということになります。
従って、ドイツ式では、プリズムの完全矯正にはデメリットは無く、メリットしかないと考えます。
私も少なくとも光学的にはデメリットはないものと考えております。
しかしながら、斜位へのプリズム矯正を行いますと、
眼位は安静位のほうへ向きます。
内斜位へのベースアウトプリズムでは視線は内方へ、
外斜位へのベースインプリズムでは視線は外方にズレます。
眼は安静位に向けながら、プリズムで光を折り曲げて、あたかも正面視しているようにふるまうのがプリズム眼鏡です。
このことから、美容的なデメリットが生まれます。
ある程度大きな量のプリズム矯正をすると、
対面でお話している時に、片目の視線がズレているような印象を先方に持たれるかもしれません。
また、コンタクトレンズとメガネを併用する場合、
プリズム矯正の可能なメガネと、プリズム矯正できないコンタクトレンズでは、使用感に大きな違いが出てしまいます。
「プリズムメガネを掛けていると楽だけれどもコンタクトにすると眼が辛い」という現象が起こり得ます。
つまりコンタクトレンズが使いにくい目になってしまうということです。
コンタクトの上からプリズムメガネを掛ければ良いのでは?という話になりますが
それだったら端からメガネで良いんじゃね?
ということになります。
また、近視や遠視の度数の入ったメガネだと度数を利用してプリズムを入れられますが
度無しでプリズムだけのレンズは、案外厚くなります。
今回は、コンタクトレンズを併用される二人の女性と1人の男性に、
また、もう1人の若い男性はコンタクト不使用ですが、
斜位量の割に輻輳(寄り目)力が強くて、特に自覚症状も感じたことが無い、
ということで、プリズム矯正はいたしておりません。
皆様に、
将来的に、眼精疲労や複視などの自覚症状を感じたらプリズム矯正を考える、
輻輳余力を上げておくために、簡単な融像力のトレーニングを継続していただくということになりました。
ただ、「眼鏡作製技能士」なる資格が業界のスタンダードになり、
眼鏡作製技能士の業務が、眼科処方箋への従属的なものに限られるようになれば、
将来的にプリズム矯正の出来る眼鏡技術者は絶滅することになるのでしょう。
当店のような「ユーザー本意の眼鏡処方」が認められなくなる将来です。
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メールであったり電話であったりしますが、定期的に受ける質問
「プリズムメガネ、作れますか?」「YES」という言質を得たいということだと思われますが、それは絶対に申せません。
「プリズム矯正の適応があればお作り出来ます」としか申し上げられないのです。
ただ、そう申し上げましても、一般のかたでしたら、
「?????」となるのも当然です。
要するに、メガネレンズにプリズムを付加したときに、
光学的にベネフィットが得られるかどうかということです。
例えば、両眼視の出来ない恒常性の斜視の場合、プリズム矯正の適応がありません。
斜位や間歇性斜視の場合に、大きな量のプリズムが必要な場合、レンズの作製ができるかどうかの問題もあります。
多くのメーカーでは3△まで、5△まで、という制限があります。
一部メーカーで製作範囲外でもある程度受けてもらえることが有りますが、
レンズの外径に制限があったり、物理的に厚みの面でメガネとして使用に耐えられるか、
あるいは装用感が耐えられるかなどの問題が出てきます。
現在、あるいは過去に、プリズム矯正の履歴があるかたの場合は、こういう質問をする必要がありませんので、
こういう質問をされてくるかたは、ほとんどの場合、プリズム矯正の履歴がありません。
何かのきっかけで、自分は斜位ではないか?斜視ではないか?
となんとなく疑問を持たれて質問されてくるパターンがほとんどです。
実際に斜位なのかもしれませんし、気のせいかもしれません。
斜位であったとしても、プリズム矯正の必要があるかどうか?
当店に来店されるお客様の6割くらいから斜位が検出されます。
ただ、その多くは自覚症状も無い軽微なものです。
たとえ軽微なものであっても、ハーゼ先生のポラテストプリズム法では矯正すべきという考えにはなりますが、
現実的にプリズム矯正が必要とは思えない場合も多いです。(個人的に)
プリズム矯正をした方が良い、と感じるのは全体の2~3割程度でしょうか。
それでもプリズム矯正によるメリットとデメリットはご説明して、最終的な判断はお客様に委ねることになりますので
実際にプリズム矯正するケースはそれよりも少なくなります。
というわけで、
「プリズム矯正の適応」についてお話させていただきました。
適応があるかどうかは調べてみないとわかりません。
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数年前より、物がズレて見えたり二重に見えたりと自覚症状を感じていた女性より相談を受けました。
2年ほど前に眼科を受診し、「斜視」あるいは「斜位」との診断を受けているようですが、
「おそらく頭の精密検査をしても原因はわからないでしょう」などという説明があり、
脳神経科への紹介は行われずに、「プリズム眼鏡で様子をみましょう」ということで処方箋をわたされたようです。
ただし、
「プリズムが合うかどうかわからない」「プリズムの度数が直ぐに変化するかも」などの
ネガティブな話だったため、その時は処方通りにプリズム眼鏡を作製するのを躊躇して、
今日に至っています。
さすがに、最近は複視が気になって来ていたところ、当店のHPを見掛けて相談に来られたとのことでした。
カバーアンカバーテスト、オルタネイトカバーテストで少々の上下斜位を確認できました。
プッシュアップで眼球のすべての方向の運動を確認しましたが、異常はまったく見られず、
眼科での見立て通り、脳や神経、筋肉の異常による視線のズレではなさそうです。
いわゆる「生理的なズレ」というものです。
単眼遮閉での屈折検査で
R=Sph-10.00D
L=Sph-9.50D Cyl-0.25D Ax135
の完全矯正を得ました。
ワース4灯計では、少しズレがあるものの正常。

偏光コの字検査では、2△の上下斜位が検出できました。
ワースも正常ですし、上下とはいえ2△の斜位なら、さほど大きな複視は感じないはずと思ったら、
偏光コの字視標が、徐々に左が上がっていきました。

左眼に4△Base.Upで一旦中和するも、またジワジワと上がっていきます。
5△、6△と上げていっても、さらに左が上がっていきます。
一旦、右が高くなる量を入れたいので思い切って9△を入れて様子を見ました。
最初は右が大きく上がっていたのですが、またジワジワと左が近づいてきます。
1時間以上、じっくりと時間をかけて潜在していた斜位を引っ張り出したところ、
8△以上、8.5△未満という量の上下斜位が検出されました。
もういちどオルタネイトカバーテストをしてみると、やはり大きく振れるようになっていました・
そして8△のプリズム付加で動きはほぼ止まりました。
上下斜位と内斜位は、長期間放置されていると、結構眼のほうが頑張って潜在させてしまうことが多いです。
たぶん、これが「プリズムの度数が直ぐに変化する」と言われる理由だと思います。
眼位が変化するのではなく、潜在していた量が徐々に現れてくるということです。
時間を掛けて全量を引き出してあげればそうそう変わらない、
というのは、私の40年の経験から得た知見です。

製作範囲外特注のレンズでしたので、お渡しは2週間後になりましたが、
作製したメガネの上から偏光板を掛けてコの字検査をしたところ、
左右ぴったり揃っていました。
測ったときと、お渡しするときの斜位量が違っていることは稀にあるのは間違いないですが、
今回はきっちり同じでした。
日変化や、斜位の増加や軽減などはある可能性があるので、
異常を感じたり、感じなくても定期的に拝見させてくださいとお願いして、
メガネを掛けたままお帰りいただきました。
これまでは車でカーブするときは、片目をつぶったりされていたようですが
これからはそんな危険なことをしなくても大丈夫です。
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1年半ほど前に、当店でメガネをお作りいただいたお客様から、
「
右目が見えにくくなった。(気がする)」というご相談がありました。
手で、左右眼を交互に塞いで左右眼の見え方を比較すると
右目が見えにくいことが多い、とのことでした。
使用中の眼鏡は
R=Sph-7.00D
L=Sph-8.00Dです。
本日の両眼の完全矯正値は
R=Sph-7.75D Cyl-0.25D未満 Ax25
L=Sph-8.75D Cyl-0.25D未満 Ax130でした。1年半前とほぼ変わりません。
乱視は0.125D以上0.25D未満なので入れていません。
そして、1日中パソコンを見るようなお仕事なので、弱めに調整してあります。
結論として、両眼のバランスはちゃんと取れていました。
バランス用の視標を偏光板を入れて見ていただくと
むしろR ≧ L 、若干ですが右のほうが良いということになり、
ご納得いただけました。

偏光板を右45°、左135°に入れ、両眼バランス視標を見ていただくと
右眼で上段と中段、左眼で中段と下段が見えます。
両眼開放下(両眼融像下)で左右の同時比較が出来るということです。
片眼を遮蔽すると、調節が喚起されることがあり、正確な比較は出来ません。
このお客様の場合、効き目が左ということもあって、
反利き目眼の何となくの見え難さに、
利き目の眼前に手のひらを置いたことで調節が喚起されたかたちで、
見え難さが増強されたのだと思われます。
(調節の喚起で近視化する)
眼鏡度数の決定の際に、
遮蔽板で右目と左目を交互に遮蔽して
「どっちが見えますかぁ~?」などとやるシーンがあったりしますが、
はっきり申し上げて
何の役にも立ちません。視野の欠損の確認とか、暗点の有無とか、オルタネイトカバーテストとか、
他の目的で行うことであれば意味はあります。
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