FC2ブログ

こちら金沢市のメガネ店OptPal(オプトパル)です

調節の介入

「視力検査」を行う目的は、視力がどのくらい出るかを調べるものです。
メガネの度数を決定する時に行う検査は、「視力検査」ではなく「屈折検査」と呼ばれるもので、
眼の屈折状態を調べるものになります。


この眼の屈折度数を調べる際に、もっとも注意しないといけないのが余計な調節の介入です。
調節とは、「accommodation」と言いまして、ピント合わせの機能のことです。
私たちの眼は、水晶体を膨らませて調節力を増し、近いところにピントを合わせることができます。
屈折検査とは、無調節状態の眼に於いて、眼の屈折力を求めるものであり、
調節の介入は、近視の場合は過矯正に、正視の場合は近視が検出され、遠視の場合は低矯正や遠視の見逃しに繋がりますので
避けるべきものです。


調節は、近くを見るときにだけ起こるものではありません。
近見反応と言いまして、「調節」「輻輳」「縮瞳」は互いに連動して起こります。
すなわち、「輻輳」すると「調節」も誘発され、「縮瞳」しても「調節」を誘発する刺激になります。
また「精神的な緊張」も調節を誘発する可能性もあります。


屈折検査を行う際には、この調節の介入を防ぐことが重要になってきます。
一般的に、調節を誘発するものとして、「片眼遮閉」「器械近視」などが知られていますが、
「輻輳」による調節刺激も起こります。
斜位近視に代表される「融像性輻輳」や、近くを見ているという感覚による「近接性輻輳」がこれに当たります。


片眼遮閉
200911_1.jpg
(検眼枠と遮蔽板)
一般的な視力検査は片眼を遮蔽して行います。
屈折検査に於いても片眼遮閉で行われることが多いです。
正確な屈折検査のためには両眼開放下でおこなうべきですが、両眼視の評価をせずに両眼開放屈折検査は成り立ちません。
「融像性輻輳」が調節の介入を招く可能性があるからです。
片眼遮閉で各眼の視力と屈折状態を大まかに調べ、両眼視機能の評価をしてから、両眼開放屈折検査を行うことで
より正確な屈折検査が可能です。


器械近視
「覗き込む」という行為が調節を誘発することは良く知られており、これを器械近視と呼びます。
運転免許センターなどに置かれている接眼式視力表を覗き込んだ時、
フォロプターやターレット式検眼器、レフラクターヘッドなどと呼ばれる検眼器を覗き込んだ時にも起こることがあります。
200911_2.jpg
(当店設置の電動レフラクターヘッド)
調節の介入があるので、フォロプターはダメだ、という声もあります。
ただ、フォン・グレーフェ、調節ラグ、融像幅の測定など、
これでないと調べられない項目もありまして、当店にも、フォロプターは設置しております。
機械内部に何層かにレンズが収納されており、
ダイヤル一つで回転させたり反転させたりして度数を変えられる便利な機械ではありますが、
覗き込むことによる器械近視、眼前でレンズが回転する際に否応なしに調節刺激が喚起されるので
メガネ処方の際に使うというよりは、眼の機能評価に使うものだと考えます。


融像性輻輳
右眼と左眼、それぞれの網膜に映る像を、脳で一つにまとめて見てことを融像と言いますが、
網膜像のズレによって刺激される寄せ運動は運動性融像と呼ばれます。
外斜位により左右の網膜像にズレを感知すると、内寄せが行われて調節が働くことがあり、斜位近視と呼ばれます。
内寄せ(輻輳)と調節の両者には、多少の自由度がありますが連動しています。
この指標として、単位調節量(A)に対する単位調節性内寄せ(AC)の率であるAC/A ratioというものがあります。
Accommodative convergence per Accommodation ratio
アコモデイティブ コンバージェンス パー アコモデイション レシオ
という何やら呪文のような言葉ですが、これけっこう重要です。
正常値は4±2△とされていますが、4△の外斜位があると斜位近視が1D起こるわけではありません。
実際は、それよりはずっと小さい割合で起こることがほとんどです。
眼位を検査して必要ならばプリズム矯正をする、という当たり前のことが
なぜかこの国ではほとんど行われていません。
眼位の検査もせずに屈折検査を行うなど、乱暴だとしか思えないのですけれど。。。。


近接性輻輳
近接性内寄せはproximal convergence(PC)と呼びます。
近いところを見る場合は、調節が働きますが、
近いところを見ているという感覚があると眼は内寄せしようという刺激になります。
内寄せが行われると調節が働くのは上記の通りです。
BOX型の近接型視力表(省スペース検眼器、スペースセービングチャートなどとも)と言われる検査機を使うと、
スクリーンの中はレンズの力で5mに相当するとしても、
スクリーンのフチや、壁などが視界に入るために、近いところを見ている感覚が働き
調節の介入が見られる場合があります。
騙されて買った私が言うので間違いありません。
200911_4.jpg
(T社製近接BOX型視力表)
200911_5.jpg
(見え方はこんな感じ。視界に視力表の枠、背面、レンズ面の反射が見えます)
当店にも近接型の視力表があり、一応電源も入ってます。
というのは、これを繋いでおかないと、フォロプターが動作しないのです。
フォロプターと検眼テーブルを買う時に、その時に連動して使える視力表が、
この省スペース式の視力表と、投影式のものしかありませんでした。
投影式では光量が弱く、暗室でしか使えない結果、省スペース検眼器にしましたが、
全く使い物になりませんで、すぐに5mの視力表を導入しました。
連動はしませんので、リモコンで別々に動かします。
200911_3.jpg
(当店の5m視力表です。
上段がメインで使っているN社のものですが、生産終了からすでに10年以上経過しており、
壊れても修理が出来ません。
幸い、同社から液晶画面の5m視力表は出ているので壊れた場合には代替は可能ですが、
この機種のにほうが優れた機能を持っている部分があるので使い続けています。)



以上、2回に分けてグダグダと書いてきましたが、
屈折検査は、調べる項目数が重要なのではなく、
調節の介入を防ぐことに配慮して

・5m以上の検査スペースで(2.5mミラー反転式でも良い)
・両眼視機能の評価をして必要なら眼位の矯正をした上で
・検眼枠を使い両眼開放屈折検査をする


ということが大切だと思います。
少なくとも私はそう信じて実践しています。


金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102 OptPal(オプトパル)

テーマ:☆北陸(富山・石川・福井)の情報☆ - ジャンル:地域情報

検査の項目数

眼鏡機器メーカーの営業マンが時々御用伺いに来まして、
他店の検査の動向などの話を報告してきます。(別に聞きたくもないのですが)


なんでも、20いくつだとか50いくつ項目だとか、
時間をたっぷりかけて丁寧にやるとか、
検査に力を入れていることをアピールするメガネ店が増えているそうな。


項目数というのは全くテキトーです。
例えば、「カバーテスト」をやるとします。
一言だと「カバーテスト」ですが、
まずは、「カバー・アンカバーテスト」「オルタネイト・カバーテスト」で斜位か斜視か、内斜か外斜かの定性をみます、
「プリズム・カバーテスト」や「プリズム・オルタネイト・カバーテスト」と定量を見るわけですが
この一連の流れを1項目とするか4項目とするかで項目数は変わります。

眼位の検査も、フォン・グレーフェですと、プリズム分離させて水平・上下の眼位を2項目測定しますが
偏光式で検査すると、偏光十字・固視点付き偏光十字、コの字、時計、第一立体視、第二立体視、立体視反転などと、
項目が増えてきます。


まあ、全然何もしないというところよりは遥かにマシだとは思いますが、
それでも、やみくもに項目数だけ増やして、いたずらに時間を掛けても、
それで正確に検査ができているとは限らないと思うのですけれど。。。

いや、むしろ、やればやるほど、被検者の肉体的(主に眼)な疲れ、精神的な負担、集中力の欠如などが起こってきますし、
眼に調節が介入してくるリスクが増えます。
調節の介入」は絶対に避けるべき最重要課題です。
(「調節の介入」については、話が長くなりそうですので、また別の機会に解説したいと思います。)



個人的には、検査は、極力手数を掛けずに短時間でやることも重要だと思っています。
手数を掛けないことと、手間を省くこと、あるいは手を抜くこととは別です。

必要な検査を最小限の手数で効率的に行うこと。
当店では、「調節の介入」を防ぎ、「正確」に「素早く」行うように心掛けています。



金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102 OptPal(オプトパル)

テーマ:☆北陸(富山・石川・福井)の情報☆ - ジャンル:地域情報

プリズム装用の質問

過日、メールにて、ちょっと意図が理解できないご質問を頂きました。

名前や、前書きなど一切ない、フリーメールからの匿名メールであり、
プライバシー云々は当てはまらないと思いますので、原文のまま引用します。

引用ここから--------------------

右眼眼前に基底外方にプリズムを装用させた場合右眼でできる像はどこにできるのですか?

--------------------引用ここまで

これがすべてです。


これに対して私が返信した答えは以下の通りです。


内斜位眼に対するベースアウトプリズム矯正なのか、それ以外の眼へのプリズム負荷なのか?
両眼視下なのか単眼視なのか?
輻輳・開散などの眼球運動は考慮するのか?
軸外からの入射光にも言及するのか?
など、諸条件によってお答えの仕方が変わります。
また、どの程度の光学知識をお持ちなのかで説明の仕方も変わります。

出来ましたら、お名前、所属(ex.眼鏡店勤務、医療従事者など)を明らかにした上で
ご質問いただけましたら幸いです。




これに対して、返信がありませんので、ここに私の考えを記しておきます。
(もしかしたら、私の返信の意味すら理解いただけていないのかもしれません)

尚、質問の内容は
右眼眼前に基底外方にプリズムを装用させた場合、網膜像はどこに結像するのか?
という意味に解釈します。


この手の問題を考える場合、軸外からの入射光に言及することは現実的ではなく、
眼前(主に無限遠)の点光源からの、眼の光軸に沿った光線のみについて言及します。


まず、眼前に基底外方のプリズムを装用するということは、
通常は、内斜位(内斜視の場合もあり)のプリズム矯正に使われます。
当然、この場合のプリズム矯正は、黄斑部中心窩に結像させるのが目的です。
さらに付け加えるなら、黄斑部中心窩で、左右眼の対応点に結像するのが理想です。



では、内斜位の矯正以外でに基底外方のプリズムを装用した場合。

プリズムを負荷された場合、光が基底方向に屈折しますので、黄斑部中心窩の耳側に結像しようとしますが、
実際の眼では、その光を黄斑部中心窩に結像させるべく、眼球運動が喚起されます。
基底外方は、眼球を内転せしめる力が働きます。
ですので、融像が可能な範囲では、眼は内転して、黄斑部中心窩で結像します。
融像不可能な量のプリズムを装用した場合は複雑です。
複視を起こしている場合は左右眼の対応点以外に結像しているわけですが、
この場合だと黄斑部中心窩の耳側になります。
複視を避けるために抑制を起こす場合もあるかもしれません。
その場合は眼は安静位に向かうかもしれません。

単眼視で眼球運動が出来るならば、眼は内転して、点光源は黄斑部中心窩に結像するでしょうが、
眼球運動が出来ないと仮定すれば、黄斑部中心窩の耳側に結像することになります。


他にもパターンはありますが、この時点で、閉店時刻になりました。
名乗りもせず、不躾なメールに対して、残業してまで返事を書くのもいかがなものかと思いますので
この辺りで切り上げます。


出来ましたら、こういったテクニカルな質問は、
お名前と、所属もしくはお立場(眼鏡店勤務、医療従事者など)を明らかにした上で、
一言のご挨拶くらいは書き添えていただきたいと存じます。
(他人に教えを乞う、意見を聞くときの最低限のマナーですね)


金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102 OptPal(オプトパル)

テーマ:☆北陸(富山・石川・福井)の情報☆ - ジャンル:地域情報

パイロットの適性検査

昨夕、6時前くらいでしたでしょうか、若い男性の声で電話がありまして、
航空機のパイロットを目指しているけれど、外斜位があるのでどうしたらよいか?
というような相談でした。ニュアンスとしては、
ビジョントレーニングで斜位は治るか?
という感じでしょうか。

ご自身で、それなりに勉強して、斜位の知識は少々あるようです。
メガネ量販店の非正規雇用の店員よりは、よほど話が通じそうです。

・病院で検査したところ、遠見で6△(プリズムディオプトリー)、近見で10△の外斜位(プリズムカバーテスト)
・輻輳力は悪くはない、とも
・その処方を持ってメガネ店に行ったら、これじゃ強すぎると言って片眼1△、つまり2△のメガネを作られた
・ワイヤービーズ(ブロックストリング)のトレーニングはしている
などなどの断片的な情報は得られましたが、
過去に何度か書いてますが、この手の質問に答えるのは一般論でしかできません。

遠見・近見の斜位量と、輻輳は悪くないというところから、
開散過剰型や輻輳不全型の外斜位ではないことが想像できます。つまり基礎眼位のズレです。
残念ながら、輻輳のトレーニングをしても外斜位が治るわけではない、ということをお話しして、
ただし、輻輳余力があれば両眼視に持ち込むことは容易になるので輻輳トレーニングはやったほうがよい
と説明しました。

ただ、私などもそうですが、輻輳力と融像力が強くて、検査で斜位が現れないことはあります。
私も以前はわずかながら外斜位はあったはずなのですが、
輻輳力が平均値を大きく上回るほど強いので、
偏光視標であれ、プリズム分離であれ、斜位が検出できません。
しかし、斜位が治ったわけではなく、
オルタネイトカバーテストでは確実に斜位はあることがわかりますし、
アルコールで酔った時に、自分の目が外斜しているのを自覚することもあります。


航空機のパイロットの適性検査は、不適合状態は「斜視」であって「斜位」は該当しないはずです。
斜位があっても、遠見視力、中距離視力、近見視力、両眼視機能及び眼球運動検査について
基準に適合することが確認されれば、適合とされるはずです。
もちろんプリズム眼鏡の装用も可です。

これまでに、航空大学校に入学が決まったかた、自衛隊の戦闘機パイロットを目指しているかた、
民間航空会社のパイロットのかた、
などの深視力用のメガネを調製したことがあるので、
眼についての適性検査の基準はおおまかに頭には入っていましたので、
まあ問題は無いのでは?と感じましたが、
パイロットの試験ではなくて、航空会社の入社試験だと言うことでした。

会社が会社の判断で基準を設けているとしたら、それはどうしようもありません。
でも、斜位があっても、両眼視機能が良好ならば問題は無いと思うのですが。
そんなこと言ってたら、日本人の半分はパイロットになれません。
深刻なパイロット不足に見舞われるのではないでしょうか?


斜位検査については、その検査方法によっては誤魔化すことはできます。
偏光指標を使う検査や、プリズム分離法、ショーバー・テストあるいはマドックス計だったらば、
ズレていても、ズレていない、と主張すれば、検者にはそれを証明する手立てがありません。
などと下衆なアドバイスもしましたが、交代遮閉法だそうです。
うーん、オルタネイトカバーテストで判定されるとどうしようもないです。
完全な他覚的検査で、融像を破られてしまいますので融像力が強くてもどうにもできません。


お決まりの、あくまでも一般論で、実際に見てみないと具体的にはお答えできない旨お話ししましたら
東京在住でそれも難しいということでした。
東京なら、私よりもよほど詳しい人がいっぱいいるだろうに、と思いながらお話を終えましたが
受話器の液晶についているタイマーが15分をちょっと超えていました。


その間、某眼鏡機器メーカーの営業マンが、玄関先で寒そうにずっと待機していました。
なかなか気の回る青年で、私が取り込み中であることを察して、中に入らずに外で待機してくれていました。
空気の読めない営業マンだと、構わずズカズカと入ってくるんですけどね。(;^ω^)


それはさておき、眼科でオルタネイトカバーテストで遠見6△の外斜位と診断されていて、
メガネ店では強すぎると言われて減らされた、という件とか、
いろいろ疑問に思うところも多い相談でしたが、
実際に自分のやり方で見てみないと大したアドバイスはできません。
じゃ、検査だけしてしてアドバイスしてくれ、と言われても、
当店はメガネ店なので、メガネを作る目的のために検査をしているので、それも困るのですが。


金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102 OptPal(オプトパル)

テーマ:☆北陸(富山・石川・福井)の情報☆ - ジャンル:地域情報

近見視力表

近見視力表の記事に、非公開のコメントをいただきました。。

IMGP2050.jpg

公開されたくないという意思表示だと思いますので、文面の引用はしませんが、
大雑把に言うと、
この視力表を売ってくれ、そしてその場合の価格は?
というようなことです。

同業者のかたでしょうね。



残念ながら販売は出来ません。
これを作るためには、細かい作業を数時間要します。
一人ではやりにくい行程もあって、二人掛かりでやらないといけない作業になります。
現在の視力表が壊れたら、寝る時間を削ってでも否応が無しにやらないといけないですが、
この作業を誰かのためにやれと言われてもモチベーションがありません。

それに、売るとなると医療機器としての承認がいるのではないかと思いますので、
そんな面倒なことはご免こうむりたいです。


カッティングプロッタがあれば、市販の偏光シートやらアクリル板などを買い集めれば自作はできます。
レーザープリンタもあったほうが良いですが、インクジェットプリンタでも出来ないことは無いです。

作り方は、日本眼鏡技術研究会(現・眼鏡技術向上研究会)の会誌にて解説しています。

190914_1.jpg

入会しなくても入手できるかもしれませんが、
もし入会していただければバックナンバーとして確実に手に入りますし、
私も材料の提供とか、お手伝い出来るかもしれません。
カッティングプロッタのデータ(イラストレーターのファイル)もお譲り出来ます。

カッティングシートをアクリル板に転写する作業がもっとも難関でして、
何枚も失敗を繰り返すかもしれません。

それさえできたら、後は偏光シートやらカラーシートなどを根気良く貼って行くだけです。
難しい作業は特に無く、ひたすら根気です。

歳を取ると、そういう地道な作業が億劫になってきました。
壊れないように大事に扱おうと思います。


金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102 OptPal(オプトパル)

テーマ:☆北陸(富山・石川・福井)の情報☆ - ジャンル:地域情報

次のページ