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こちら金沢市のメガネ店OptPal(オプトパル)です

累進屈折力レンズの確認度数

幸い、当店ではまだ経験は無いのですが、
他店の経営者のかたから、
「累進レンズの度数が処方度数と違っている」という眼科からのクレームを受けたという話を聞きました。


これは、もう20年ほども前から危惧されていたことです。
レンズの度数を測るレンズメーターという装置は、面屈折力を測定しています。
しかし、現代の累進レンズは、処方度数を透過度数で得られるように各種の補正を受けているため
面屈折力と乖離があることも多いです。
レンズの袋には、「処方度数」と「確認度数」の両方が記載されていたりしますが、
特に乱視度数や乱視角は両者で違っていることが多いです。
レンズメーターの度数を0.25Dステップにしていたりしますと、
例えば、0.11Dが0.00Dと切り捨てられたり、
0.13Dが0.25Dへと切り上げられることもあります。

230422_1.jpg

これはHOYAさんが配布している資料の一部なのですが、
これは眼鏡店に向けて配布されるべきものではなく、
全国の眼科さんに向けて広く広報するものではないでしょうか。



金沢市西念4丁目19-26 プレイヤード102 OptPal(オプトパル)

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老眼になったら・・・

ピントを合わせる能力、いわゆる調節力は、年齢と共に衰え、人は誰でも老眼になります。
諸条件によって個人差は出てきますが、
おおむね40代の前半、遅くとも後半くらいには自覚することになると思います。


その時どうするか?
遠近両用コンタクトとかモノビジョンなどの方法もありますが、
一般的にメガネで矯正する場合の選択肢としては以下が考えられます。

211112_1.jpg

左から
青・遠近両用
緑・遠近両用(中近重視)
橙・室内用レンズ(以前は「中近」と呼ばれたもの)
茶・デスクワーク用(以前は「近近」と呼ばれたもの)
桃・シングルビジョン(単焦点の老眼鏡)

室内用レンズも、見え方の違うレンズが用意され、数年前に比べて選択肢は増えてきました。

遠近から、室内用レンズまでは基本的には同じ設計です。

https://optpal.blog.fc2.com/blog-entry-1626.html

https://optpal.blog.fc2.com/blog-entry-793.html

アイポイント(水平方向遠方を見たときに視線が通る位置)での加入度の違いと、
累進帯(度数が累進的に変化していく箇所)の長さの違いです。
(それに伴って設計も変わってきますが)

遠近では、アイポイントでの加入度数付加が0%
中近重視の遠近では、同10数%
室内用レンズでは、同20数%、同40%前後

メーカーによって多少の差異はありますが、
アイポイント付近で付加される加入度の違いが何種類か用意されておりまして、
「その中から自分に合うものを選んで使え」
と言っているわけですが、そんなの一般の消費者が選べるはずもありません。

当然、私たち、眼鏡技術者と呼ばれる者がアドバイスしないといけないわけです。
で、全部試してみました。
自分の眼で確かめないとお客様に薦めることもできませんので、眼鏡技術者としては当然の務めです。


なかなか一つのメガネですべてを賄えるものではなくて、
遠近と室内用とか、中近重視の遠近と室内用とか、
シチュエーションに応じて使い分けるほうが、見え方のストレスは少ないですが
掛け替えるストレス、というものも存在するわけです。


一つで何とか万能に使える可能性もあるにはあるのですが、
見え方の要求については、個人差もありますし、
現在の視生活との違いによっても変わってきますので、必ずしもうまくいくとは思えません。



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レンズを新調しました

加齢性遠視(老人性遠視)については過去に何度か書いておりますが、
現在、この普通に起こるイベントが自分に起きている真っ最中でして、近視の度数が大幅に減ってきました。

裸眼での遠見視力が少し良くなる、レンズの厚みが減る、などのメリットは有りますが
逆に、手元が見えにくい、レンズの度数が変わる、などのデメリットもあるわけで、
自分のメガネのレンズ交換も必要になってきました。

210727_1.jpg

今回は、同時に3本のレンズ交換です。
度数は全く同じで、上からすべてHOYAの累進レンズで、
・ウェルナ・フィールド
・シンクロ・フィールド
・スペクティHG・フィールド
となっております。
違いは、主に累進構造で、上から
・両面複合累進
・内面累進(両面シンクロ)
・内面累進
です。

累進構造の違いは、過去に書いております。
https://optpal.blog.fc2.com/blog-entry-1025.html
https://optpal.blog.fc2.com/blog-entry-1038.html


見え方の違いは、掛け比べて見ると、実に良くわかります。

値段の違いほど違わねぇー(笑


もちろん、違いはあります。
中間部の視野の広さ、遠用周辺部の像のシャープさ、足元の浮き上がり感や、顔を振ったときの足元の揺れなど、
値段の高いレンズのほうが確実に性能は上です。
ただ、スペクティーの1.5倍の価格のシンクロ、同じく1.75倍のウェルナ、
この価格差に見合うほどの違いかというとそうでもない気がします。

少なくとも、ウェルナなら掛けられるけれどもスペクティーだと無理、
というような極端な例は、おそらく起こらないと思います。

まあ、ご予算が許すならば、ウェルナを選んでおけば間違いない、とは思います。
フィールド(通常の遠近)とシティー(中近重視の遠近)は生活習慣に合わせてお選びいただけます。


尚、今月、HOYAより最高峰のメガネレンズ「HOYALUX 極」というレンズが出ました。
両面複合累進のindividual設計のレンズです。
前傾角、頂点間距離、そり角等のパラメータを考慮してレンズの補正を行うものです。
それについては思うところもありますので後日書こうとは思うのですが、
ちなみに価格は、スペクティーの4倍超です。
高屈折やらその他オプションを付けると10万円を大きく超えていくような価格設定です。

誰が買うねん!

もちろん、性能が良いのは間違いのないところですが、
果たしてその性能の違いを、わかる人が居るのだろうか・・・

良いレンズを使っている、ということで、安心感とか所有欲を満たせる需要というのはあると思います。
ただ、私だったら、HOYALUX紬とか極というハイエンドなレンズを買うなら、
ウェルナのフィールドとシティー、フィールドとルームといった、目的の違う累進レンズを
2つ購入するほうが、日常生活に便利でお得、じゃないかと思っております。


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シティーというレンズ

加齢性遠視がまた進んだ(近視が弱くなった)ので、過矯正になってしまった以前のレンズを交換しました。

210523_4.jpg

今回のレンズは
HOYALUX シンクロ シティー 1.60 SFT
というものです。
もちろん、ブルーライトカットは入れていません。不要だと思いますので。

注目すべきは、注文度数に対して、「遠用確認度数」というのが大きく解離していることです。

さて、このCityというレンズ、元ネタはHOYAの製品名でJAZZという名前で、両面複合累進設計で世に出たものです。
今は、高額な両面複合設計だけでなく、ややリーズナブルな内面設計のレンズでも出ています。
このシンクロシティーはその内面累進レンズになります。

このJAZZというレンズが開発された背景は、ちょっとした誤算というか偶然でした。
先に、中近の累進レンズが発売されており、メーカーとしては、あくまでも室内での装用のみを想定していたのですが、
中近を常用するかたが思いの外多かったという結果となりました。
足元のボヤケを気にしなかったり、遠見の明瞭度を求めない場合は、中近でも事足りるわけです。
そこで、「より常用に適した中近レンズ」あるいは「より中近重視の遠近レンズ」というコンセプトで
商品化したのがJAZZの生い立ちです。

他メーカーもこれをパクり、インスパイアし、東海光学は「フィット」、セイコーは「タウン」という名で
同じコンセプトのレンズを出しています。

拙ホームページに

~遠近レンズと中近レンズ~ 

というページがありますが、
この遠近と中近の間のようなレンズとなります。

200523_1.gif

具体的には、水平視線の位置(アイポイント)付近で近用加入度数の10数パーセントが与えられています。
水平視線の6mm上では遠用度数、14mm下で近用度数が得られます。
その結果、中間の視野の広さを確保、、度数変化が緩やかになり足元の揺れや浮き上がりが軽減されています。
半面、水平視線での遠方の明瞭度は下がります。

このレンズ、ハマるかたにはハマるのですが、ハマらないかたには全く合いません。
その度数決定も含めて、適応が難しいレンズです。
幸い、当店にはこのレンズの試着用サンプルレンズがあるので、
遠近、中間重視の遠近、中近と3種のレンズを掛け比べて頂くことが出来ます。

そしてこれは私のメシノタネになるので公表はいたしかねますが、
このレンズが、合う合わないそれぞれのパターンがかなり明確になってきました。

今まで、どうしても遠近両用レンズが合わないと思われているかた、
特に遠近両用の視界の揺れが気になって不快に思われたかたに
お試しいただきたいレンズです。


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累進帯の長さ

過日、遠近の累進レンズでメガネをお作りいただいた富山県のお客様から、
累進帯長を教えて欲しい、と電話がありました。
なんでも、メガネに詳しいお友達から、
そんなに天地幅の狭いフレームで遠近は出来ん。自分の作った店では最低32mmは無いとダメと言われた。
と言われたらしく、不安に感じられたそうです。


累進帯長とは

200312_1.jpg

これはとあるメーカーの累進レンズのレイアウトデータですが、赤枠で囲んだ部分、
フィッティングポイント(遠用アイポイント)と近用度数測定位置までの距離のことです。
この累進帯という部分で、遠用度数から近用度数まで、「累進的に変化」するのが遠近の累進レンズです。
この硝種では11mmと14mmの2種類ですが、他メーカー他銘柄のレンズでは
8mmくらいから16mmくらいまでいろいろとあります。


細かいことを言うと、累進面が外面にあるか内面にあるかで、この長さの評価は変わってくるのですが
それは今回は置いておきます。

累進帯の長さは、掛け心地や使い勝手に影響してきます。
細かな差異はたくさんありますが、今回は端折って肝心な部分だけに留めます。

一般的に、累進帯長が長いと、度数変化が緩やかになります。
そのため、足元の浮き上がりが少なくなり掛け心地が良くなります。
半面、近見時の下方回旋が多くなるので、近くを見続けるのがつらいという欠点があります。

累進帯長が短いと、度数変化が大きいので、足元の浮き上がりが大きくなり、視野が狭くなりやすい欠点が出てきますが
下方回旋が少ないことで、近見が楽にできる利点があります。

累進帯長を長くするか短くするかは、装用するお客様のいろいろな条件によって変えます。
そのお客様にとってより都合の良いほうを選んで、もちろん、装用テストをした上で決定します。


最低32㎜無いといけない、というのは、間違った意見でも無いと思います。
累進帯長が14mmだとして、近用部に6~7mm、アイポイントから上の遠用部に11~12mmとすれば、
天地幅は32mmくらい必要となる計算が成り立ちます。

個人的には、アイポイントからレンズの下端まで、累進帯長プラス5mmあれば十分だと思っていますので
11㎜の累進レンズが使えれば、アイポイントから下が16㎜、遠用部に10㎜程度で合計26mmあれば、
とりあえずは視野の狭さに困ることは無いと思います。
遠用部は、アイポイントから離れると収差の増加で見えにくくなるので、
むしろ無駄な部分が少ないほうが見え方はシャープです。


今回のお客様のレイアウトは以下の通り。
緑の円の中心がアイポイント、下の赤い枠が近用度数測定位置です。
200312_2.jpg

累進帯長は11mm、アイポイントから下は18㎜、アイポイントから上は10㎜で上下幅28㎜です。
玉形サイズが46□20という男性としては超が付くほどの小顔のかたです。
これ以上大きいと、お顔にたいしてメガネがでかくなりすぎてバランスが悪いです。
また、左右差が2.00D強ある不同視眼なので、眼の上下への回旋は少なくしたいという部分もあります。
不同視による不等像は起きていませんが、上下への回旋時に受ける左右眼のプリズム量の差が問題になることがあるのです。
幸い、累進レンズの経験もあり、左右眼のプリズム差への耐性は高いようでしたので、
やや短めの11㎜の累進帯を持つ遠近両用レンズを選びました。



私は、各メーカーのレンズの特性を知るために、
いろんな銘柄の、累進帯長も長短織り交ぜてたくさんのメガネを所有しておりますが、
累進帯長で言えば、一番短いもので9㎜、長いもので14㎜です。
9㎜でもさほど違和感は感じませんが、
14㎜もあると、近見時に物足りなさを感じますので、
下方回旋が少なくて済む11㎜くらいが使い勝手とバランスが良いように感じます。

最近のレンズは、収差補正がものすごく良くなっているので
累進帯が短くても、ボヤけとか視野の狭さを感じにくくなっているという印象です。
10年ほど前は、累進帯長11㎜を使うのは怖かったですが、今では何の抵抗も無くなりました。



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